「剣桜」
じゃんはむ様
※ 史実バレあります。
※ 2003/09/末 本誌連載済み分までをストーリー展開のベースにしています。
凧が 京の空を暫しと 留守にした
鳥が 凧の代わりと 空を切り
風が 凧の帰りを待って 空を吹いて
草が 風に焦がれて 葉を揺らしていた
そんなころ
そよ風が 柔らかに現れて 辺り一面を優しく撫ぜた
風は 凧の帰りを待ちわびながら
そよ風に力を得て さらなる高みを目指して空を吹く
草は 風をひたむきに追いながら
そよ風の向こうの風へ さらに強く吹くようにと葉をそよがせる
鳥は 空を颯爽と駆りながら
そよ風と伴にある風をみとめて
空から見下ろした野の草のそよぎに異変をみとめた
鳥が
草に発破をかけようと思い立つまま 空から向かいざま ただ趣くまま
降りてみるかと翻したその時 地へと向かう空の続きと思ったその狭間は
しなやかな若い桜の その枝々が生い茂る只中だった
草が
桜の己を秘したつもりのまま 風から吹かれぬまま 存分に咲かぬまま
風たちに向かって寿いだその時 力無く舞い零れる花弁を
抜け目ない鳥に知られ悟られ 己の在りようにさらに惑う
鳥は桜に 何をしてると問い掛ける
桜は鳥に 知らぬ振りで本心を騙る
「私は草にすぎません」
「凧が高く上がるよう 風が強く吹くのを お守りする草にすぎません」
鳥は
思いがけず本性を現した薄紅に 驚きながらも心躍らせ
花々に惹かれて枝にとまろうとする
桜は
思いもよらず本性を知られた濡れ羽色に 驚きながらも頑なに
刃のように枝を振るいかわそうとする
「これは羽を休める枝じゃありません 風を追い 風に戦ぐ 葉にすぎません」
鳥は桜の情の強さに
半ば呆れながらも 心惹かれて戯れて
そよがせてやろうかと 黒く大きな翼を広げて からかうように羽ばたく
桜は鳥の企みに
草の振りしながらも 心和んでつっぱねて
そよいでみせずに 蕾の膨らむ枝を伸ばして 秘めやかにほころぶ
ある初夏の日に
空の高みで凧を舞い上げる風から そよ風の気配が隠れて消えた
京の空に 暗い雲が立ちこめはじめ
鳥は それでも気を込めて 空を駆り
風は 痛みを堪えながら 空を吹き
桜は 鳥の渡りにも 薄紅の色も清やかな香りも潜ませる
風の 空を吹く力が 弱るなか
桜は ますます強かに草を装い 風に戦ぎ風を戦がせる
凧が 風が 鳥が
京の空を後にすることにした
風は 草の本性を知るようで知らぬまま
京の都の野に残れと 美しい花を穏やかに咲かせよと これが最後の機会と諭す
大地の呪縛とわななく桜に
鳥が どやしつけ 枝を掴んで引きずり出して 飛ぶ
「肚ァ疾うの昔に決まってんだろうが」
「桜が桜の本懐遂げるなら 草の振りは終いと観念するこった」
西の都の空の下 東の都の空の下
振るう刀のように枝が舞って盾となり 花弁が空を標すなか
凧が 糸断ち切られ
風が ひっそりと止み
眼光鋭い鳥だけが 空に残った
「まだ終わってない 生きてるうちは そう簡単に落ちてたまるか」
「そう簡単に枯れちゃいけない 鳥が飛んでいる限り まだ終わってない」
桜は 思いを空に馳せ 志を鳥と共にして 花を存分に咲かせる
鳥は 北へ北へと赴き 羽ばたいて
桜は 鳥のその傍らで
根を下ろした北の大地で 潔く咲き潔く散る
ということで、
原作を読み込んでいて 且つ史実もかなりご存知という方なら
お解りいただけるかな?と思いつつ作ってみました。
キャストはコンナ感じです
凧: 近藤先生
鳥: 土方さん
風: 総ちゃん
草/桜:おセイちゃん
そよ風:沖田氏縁者
梅桜さんは、「沖田氏縁者」ってご存知ですか?
ご存じなかったらごめんなさい。
原作でこの史実と思しきエピソードが使われるのかどうか
定かではありませんので、「03/09/末連載済み分までをベース」としました。
もしかしたら、縁者=おセイちゃんかもしれませんし;
はたまた、出てこないかもしれませんが。
ちなみに、
近藤先生が留守にする、、というのは、慶応元年冬〜二年の春ごろにかけての
広島方面への出張で不在、というエピソードからいただいてます。
書いている間、どうも歳セイっぽくならないなぁと困りました(^_^;)ゞ
「渡り」という単語がなければ、総セイと読めなくもないか?!と;
失恋して落ち込むくせに応援しちゃってる清三郎を女性と知って
なぐさめたり叱咤激励しちゃう副長ってだけの図、といいますか。。。
あ、最後に、
「桜のどこにお腹があるのか」ってツッコミはなしでお願いします(苦笑)
|