質問:『もし、(本当にもし!)子供が生まれたら、どんな名前をつけたいですか?』
質問者:夏桜さん
回答:
「今日で副長室親展目安箱の設置も最終日だな。何か来ているか?」
「(箱を振ってみる)えぇ、がさこそ音がします。今、取り出しますのでお待ちくださいね」
「しかし、振り返ってみると俺とお前に関する質問ばかりだったな。しかも中には答えるのが恥ずかしいものもあったしよ」
「えぇ、副長が赤鬼になっていました」
「へん、てめぇだってゆでたこになって頭から湯気が出ていたじゃねぇか」
「副長こそ、体中の血液が顔に全部注ぎ込まれたかのような真っ赤さでしたよ」
「うるせぇ。俺のことはいいんだよ。それより、今日の質問はなんて書いてあるんだ?終わりよければすべてよしというからな。有終の美を飾ってここはびしっと決めるぞ」
「はい!えっと、最後の質問は・・・・・(がさこそ)
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「おい、何固まってやがる。何て書いてあるんだ」
「えっ、いや、あの、だから、その」
「前置きはいい。どんな質問だ。まぁ、どんな質問が来ようとこれが最後。副長らしくびしっと決めるけどな。男はここ一番というときはしゃんとするもんだ。お前もなにおろおろわたわたしてやがる」
「だから、あの、私・・・・・・」
「あぁ、もうじれってぇ。貸せ(歳、セイちゃんから質問紙を取り上げる)
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・副長。ここは新選組副長職を担う者としてびしっと男らしくきめてそして、有終の美を飾って下さい。未熟者の私には身が重過ぎます・・・・・・(真っ赤になって畳の目をつっつく)」
「・・・・・・何を言う。俺が決めるのは勿論至極簡単だが、ここは一つ修練だと思って、お前この場をきちんとおさめてみろ(
耳まで真っ赤)」
「それは単なる逃げですよ、副長。お赤子が生まれたらなんて・・・・・・。そのようなこと思いも寄らぬことで・・・・。でも、こうして意識すれば意識するほど頭が沸騰してきます。わぁ〜ん、ものすごく恥ずかしい。最後の最後でこのような質問が待ち構えていたとは・・・・・・」
「俺とお前の赤子なぁ・・・・・・。想像もつかねぇ」
「もし、仮に生まれたとしても、色の白い子が生まれるのではないかしらとそれぐらいしか想像ができませぬ」
「加えて俺似だったら、男だろうが女だろうが幸せ者だろうな。男の子ならば俺に似て女人にモテモテ街道まっしぐらの男前。女の子ならば、『女の子は父親に似れば幸せ』というからな」
「・・・・・・う〜む。でも目つきだけは副長に似て欲しくないなぁと思っていたりして・・・・・」
「あん?不満か?」
「だって、失礼を承知で申し上げれば、その何か悪巧みしてそうなややつり目のにやり顔が似合う目ですよ。子供が近所の子から生意気そうだといじめられないか心配です」
「ていうと、何だ?俺は生意気だっていうのか?」
「・・・・・・お若い頃、そう他人から言われてよく喧嘩なさいませんでしたか?沖田先生からはそのように伺っていますけれども」
「・・・・・・。俺はまだ若い」
「あっ、否定しませんでしたね。こういうところは存外素直な方ですね」
「やかましい。で、もう質問にはこれで答えたか」
「いえ、質問の内容はどんな子供がいいかではなく、どんな名前をつけたいかということで・・・・・・」
「名前なぁ。まぁ、父親の名を一字もらうのが通常だろうなぁ」
「では、『歳』の字をもらうのですね」
「で、せっかくだから母親の一字をもらうと」
「では、『清』では合わないので、『三』をもらうと」
「父親の俺と母親のお前から一字もらうとすると・・・・・・」
「「『歳三』」」
「「・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
「俺と同名になってどうする。大体なんでお前三男でもねぇのに『清三郎』なんだよ。『清次郎』でいいじゃねぇか」
「亡くなった兄上がお転婆の私のことをいつからかそう呼んで下さったのです。呼びやすさの問題でしょうね」
「かといって、お前の『清(セイ)』をつけると『歳清』となって『トシセイ』となるが聞きなれない音の響きになるしよ」
「ならば『歳三郎』というのは如何でしょう」
「だから、最初の子に『三郎』というのは変じぇねぇか」
「う〜む。では視点を変えて女の子だったらどんな御名前がいいでしょう」
「女の名前は『誠』とか。これなら『まこと』とも読めるし『せい』とも読める」
「『セイ』では私と同名になってしまいます」
「う〜む。女の名前なぁ。『おゆき』に『おさえ』に『おきく』。『おきみ』に『おらん』に『おしの』、『おゆう』に『おちょう』に『おきわ』」
「・・・・・・。」
「それから『おふじ』に『おけい』に『おしか』。あとは『おはる』『おなつ』『おあき』。あっ、そうそう『おふさ』に『おかる』に『おりく』」
「・・・・・・あの」
「まだまだあるぞ『おまつ』に『おすぎ』に『おたか』『おあい』。それからそれから『おつね』に『おさち』に『おたつ』に『おいと』」
「・・・・・・あのう」
「おっと忘れちゃいけねぇ『おとみ』に『おたま』に『おみつ』。あとは『おひで』に『おちよ』に『おまん』に『おあさ』」
「あの!!!!。一言申し上げて宜しいですか。それは子供の名前ではなく、副長が今までにお付き合いした数多の女の人のお名前ではございませんか?女を捨て日々武士になれるよう精進している身ではございますが、女は捨てられても女の勘は衰えぬようで返って副長のお傍にいるとこの勘が鍛えられるようなことばかりの日々。一言いっておきますけれど私は一度も子が授かるよう神仏にお頼みしたこともありませんし、これからもするつもりは毛頭ありませんから」
「・・・・・・とはいえ、することしてりゃ、いつかはなぁ」
「何をおっしゃっているんです。赤子というものは神仏にお頼みして授かるもの。私たちがどうこうして授かるものではございません。
全くさすがは郷里に『女にもてもてで、ついつい報国の心忘れてしまう』と恋文束にして送られた方だけあって、女子の名前はまぁすらすらと舌がなめらかにすべりますこと」
「ちょっとまて。お前、本気で神仏云々と思ってやがるのか」
「勿論です!それとも何ですか、副長には信心がおありではないとおっしゃるのですか?それはそうでしょうね。鬼ですものね。鬼が神仏のご加護を受けるわけがございませんものね。あぁ、私洗濯物を干してきます。副長の分は先程言われた三十三名の何れの女子にでもお洗濯してもらったらよいかと思われますので、今日からは一切副長の分はお洗濯しませんから、そのおつもりで」
「・・・・・・三十三名って。いちいち数えてやがったのか」
「あら、これは失礼を。三十三名ではおさまりませんでしたか。では、御免」
(セイ、乱暴に障子を開けてぷりぷり怒って乱暴にバンと閉める)
「・・・・・・相変らず怒らすと怖ぇ。でも、神仏に頼んだら授かると本気で思っていたなんて何だかそっちのほうが別の意味で怖ぇ。
何も知らねぇとは。・・・・・・やっぱりいつかは話してやらねぇといかんだろうなぁ。というかあいつ医者の娘だろ?何故知らねぇんだ?」
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